心臓カテーテル検査

心臓カテーテル検査 

☆心臓カテーテル検査重要点 

1.心臓カテーテル検査と冠動脈CT(心臓CT)で心疾患を診断。    

・虚血性心疾患を診断するためには、心臓カテーテル検査と冠動脈CT(マルチスライスCT:MDCT)が主に行われる。    

・MDCT   

メリット:従来のCTと異なり、一回転で複数の断面を撮影できるため、検査時間が少なく、侵襲も少ない。

 デメリット:息止めができないと画像にブレが生じることや、石灰化が強い場合評価しにくい点。 

・心臓カテーテル検査    

 メリット:精度が高く、検査中に治療が必要となればそのまま治療に移行できる、また、追加でスワンガンツカテーテルなどを用いることにより、冠動脈の走行以外の情報を得ることが可能。     デメリット:侵襲が大きいこと、一時的な絶対安静が必要になること。    

・虚血性心疾患のスクリーニングや、冠動脈バイパス手術のフォローアップにはMDCTが実施されることが多い。透析患者等石灰化が強く疑われる患者さんなどには、はじめから心臓カテーテル検査が選択されることが多い。 

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☆PCI後の看護 

◎PCI後の看護のPOINTとは?

 ・PCI後に起こりうる合併症とその特徴を把握し、異常の早期発見・早期対応につとめること。

 ・経皮的冠動脈形成術(PCI)は、冠動脈狭窄部位の治療に、用いられる内科的治療法。

侵襲を伴う手技であること、造影剤を使用することから、PCI後に様々な合併症が生じる可能生がある。 

※PCI後の合併症 

①穿刺トラブル 

●出血・皮下出血 ●皮下血腫・腫脹 ●後腹膜出血 ●仮性動脈瘤

 ☞穿刺部から出血したらすぐに圧迫止血する。  

 止血後患者の状態を観察し、医師へ連絡し診察していただき、対応してもらう。

 ☞血腫の発生や血腫の拡大が見られたらマーキングし、出血と同様圧迫止血を行い、患者の観察とバイタルサインを確認し、医師へ連絡する。

 ②亜急性ステント血栓症 

●PCI後24時間~数日に生じるステント内閉塞。処置後数日以内に患者が胸痛を訴えたら、まずは亜急性ステント血栓症を疑う。症状は心筋梗塞と同様。胸痛発作に加え、冷汗、吐き気、血圧低下など。 ☞すぐ心電図をとると共に医師へ連絡。

 ③造影剤アレルギー

 ●冠動脈造影(CAG)の際に用いる造影剤にアレルギー反応を引き起こす状態で、重篤になるとアナフィラキシーショックとなり生命に関わる。

 ☞患者の状態を観察し、気道閉鎖や咽頭浮腫、痒み、発疹、膨隆疹などがみられた場合は、ただちに医師を呼ぶ。  

必要に応じて医師の指示のもとステロイド投与や酸素投与を行う。

 ④造影剤腎症 

●PCI後の水分摂取が不十分な場合に起こる。

水分摂取不足により造影剤が体内から排出されないと、腎機能が低下し、腎機能障害を引き起こす。 ●腎機能の指標(P3参照)となる血中クレアチニン値は、発症後3~5日でピークに達し、7~14日で正常範囲に戻ることが多い為、経時的に観察が必要。 

●正常範囲まで戻らず、血液透析が必要な慢性腎不全になることもある。

 ⑤迷走神経反射 

●処置に伴う痛みや強い緊張状態から、迷走神経反射(ワゴトニー)の誘因となるから。 

Q.迷走神経とは?迷走神経反射とは?

 迷走神経:自律神経である副交感神経に属しており、臓器運動や知覚を支配する神経。  

迷走神経反射:強い痛みや極度のストレス等が刺激が迷走神経を介して脳幹の血管運動の中枢を刺激し、血管拡張による血圧低下、心拍数の低下などを引き起こす生理的反応。ワゴトニーとも呼ばれる。 

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☆PCI後の看護におけるQ&A 

Q.カテーテル後に水分摂取が必要なのはなぜ? 

A.造影剤には腎毒性があるため、水分摂取で体外に排出するため。

 解説 

・造影剤には腎毒性があり、必ず腎機能に悪影響を与える。そのため、PCI後は速やかに造影剤を体外に出すことが必要不可欠。

 ・造影剤は腎臓から尿として排泄されるため、造影剤使用後は水分摂取を促す。

 ・特にカテーテル検査・治療前から腎機能が低下している患者や脱水のある患者は、より腎機能が悪化しやすいので、注意が必要。そのため、カテーテル検査・治療前日から生理食塩水などの輸液などを行う。 

・水分摂取の方法は、造影CT検査では飲水を促すことが多いが、PCIでは飲水だけでは不十分なため飲水に加え輸液で水分投与を行う。 

・輸液によるメリット 

 ☞・造影剤の排泄を促し、尿細管での造影剤濃度を低下➔直接的な尿細管障害を抑制   

・血管内血漿を増加させることで、レニンーアンジオテンシン系やバソプレシン産生などが抑制➔腎保護につながる。   

・血管拡張作用がある一酸化窒素(NO)やプロスタグランジン産生は、水分摂取で制御されないため造影剤排出に伴い動脈収縮が抑えられ、腎機能悪化が予防可能。

 Q.血圧低下したら何を疑うの?

 A.迷走神経反射や出血、ステント血栓症などを疑う。 

解説 

迷走神経反射(P10参照)  

・目に見えて分かる症状は、生あくび・冷汗・悪心など。  

・対処法は、医師の指示のもと硫酸アトロピン0.5mgの静脈注射が第一選択。  

・迷走神経反射は看護師が第一発見者になることが多いため、医師の指示を待つだけでなく、その場で可能な対応することも重要。 

 ・水分摂取の為の輸液がつながっていれば、滴下速度をあげて点滴による負荷を行うことで症状改善につながる。

 ・出血や皮下出血  

・鼠径部からの穿刺の場合は、大腿動脈は深部にある太い動脈のため、安静の保持ができないと出血の危険がある。  

・PCI後は、PCI中に使用した抗凝固薬(ヘパリン)の効果が持続しているため、出血しやすい状態になっている。特に、後腹膜出血など体内での出血が起こると、圧迫止血が困難であり、緊急性が高い。 ・出血が起きている場合は、血圧低下や顔面蒼白などのショック症状が出現。その場合は早急に医師に報告し、輸血や科学的処置を行わなければならない。 


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参考文献:循環器ナースのギモン ☟

Saya's summary

はじめまして!2年目の看護師です。小学生から念願だった看護師になれ、毎日奮闘しています。仕事や勉強と両立しながら趣味を楽しんでる毎日です。 そのなかで、毎日自己研鑽していく中で、学んだことを掲示できる場所を作りたいと考え、サイトを設営しました。 また、最近ではアート活動も開始。画力はまだまだですが、見ていただけたら幸いです。アート作成も無料で受け付けていますので、声をかけていただけたらと思います。

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